◇ (3) ストレスの影響による皮脂の過剰分泌
強いストレスを受けると、私たちの体にはストレスを除こうとする、様々な体の防御反応が働くようになります。
少し仕組みは複雑になるのですが、脳の視床下部は下垂体前葉に働きかけてストレスに対応するように指令を出します。下垂体前葉はその指令を受け、今度は副腎皮質にストレスに対応せよと指令を出すのです。
副腎は腎臓の上にあるおにぎりのような形の器官で、副腎髄質は副腎の内側、副腎皮質は副腎の外側の部分です。最初は副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンや分泌されます。
アドレナリンの分泌は長くは続かず、ストレス状態が長引くと、次に副腎皮質からコルチゾールという、抗ストレスホルモンが分泌されます。
副腎皮質から分泌されるホルモンにはコルチゾールの他にアルドステロンとアンドロゲンがあります。
コルチゾール・・・抗ストレス、血糖値上昇、脂肪分解促進の働きをする
アルドステロン・・血圧や血中のNA、Kの調節を行う
アンドロゲン・・・・男性ホルモン
まだ解明されていない部分は多いものの、コルチゾールが分泌される時に男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌量も増えると考えられています。男性ホルモンには皮脂の分泌を促進する作用があるので、
ストレスが続くと、男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が過剰になり、毛穴にも影響があるということになります。
男性ホルモンは、男性の場合はほとんどが精巣から分泌されるのですが、女性にも男性ホルモンはあり、それが副腎皮質から分泌されるので、女性にも男性ホルモンの影響があるのです。
コルチゾールは血糖値をあげ、免疫を低カさせ、炎症を抑える(=細菌や異物と戦い、治そうとする過程で炎症が起きるのであって、炎症は体に異状があることのサイン。それを抑えてしまう)働きもあるのでニキビは治りにくくなり、ストレスはここでもお肌に悪影響を与えます。
成長するに従って訪れる思春期。この時期は男性ホルモンの働きが非常に活発になる時期です。
皮脂の分泌量が増えるので、顔の中でも皮脂腺の多い額や鼻にニキビができることが多くなります。この時期に皮脂分泌量が多くなることは避けられないことなので、出来てしまったにきびを悪化させない工夫が必要になってきます。
などを心がける必要があります。
月経周期で、排卵から生理が始まるまでの期間(黄体期)と生理が終わってから排卵までの期間(卵胞期)では、分泌される女性ホルモンの量に顕著な違いがあります。
黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加し、受精卵の着床に供えて子宮内膜を厚くてやわらかい状態に増殖させています。この期間は皮脂分泌が多く、肌はとても敏感になっており、にきびもできやすい期間です。
生理が始まれば肌は落ち着いてきますが、黄体期は皮脂の分泌が増える時期ですので、にきびの悪化に繋がる油分の過剰摂取を控え、スキンケアはお肌への刺激を考えて基本的な洗顔や保湿、保護をするだけにしたほうが良さそうです。
月経前は怒りっぽくなったりイライラするという方も多いのですが、これはお肌の状態を悪化させることにも繋がりますので、生活面でもできるだけストレスを少なくする工夫や、規則正しい生活をすることを心がけるようにしましょう。
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